ベトナム現地法人設立に伴う親会社立替金の処理

2019年9月通達(Circular 06/2019/TT-NHNN)をもとにベトナム現地法人設立に伴う親会社の立替金の処理方法について情報提供をいたします

1,地法人設立前に立替えが必要な費用

ベトナム法人設立前ですので、必要な費用は親会社が支払うことになるのが一般的です。注意が必要なのは、それらの費用を親会社が負担した場合、現地法人への寄付とみなされ、親会社の税務上の損金としては否認されることが考えられます。そのため親会社が一旦は立替したことにして、現地法人設立後その費用として付け替える方法があります。

(現地法人設立前に立替えが必要な費用の一覧)

・会社登記する不動産賃貸、リース契約のデポジットおよび賃料

・法人設立コンサルティング(代行)費用

・法人設立前の活動費用など(交通費、宿泊代等)

・そのほか、オフィス設備、内装など現地法人が負担すべき費用

2,親会社の立替金として認められるための留意点

1)立替の委任、支払いの証明、納税の証明等

一方的に親会社が立替えるだけでは、立替金として精算することを認められません。会社設立前のため親会社へ立替を委任したエビデンスなど書面を用意する必要があります。

また、ベトナム国内の事業者に支払った証明書、および税負担の証明ができないと立替金としては認められません。手順や手続きの方法については弊社にお問い合わせください。

2)精算の有効期限

立替金の精算の期間が明示されているわけではありませんが、経験上ですが、会社設立後1年以内に処理を済ませない場合は認められない可能性があります。

3,立替金の精算の手順

1)資本金に親会社の立替金を振替する方法

資本金の立替金振替する契約書を作成し、計画投資局および金融機関に報告する必要があります。

2)親会社からの借入金に立替金を振替する方法

親会社からの借入金(親子ローン)は、海外送金での返済が可能です。立替金を親子ローンに振替えて、そのうえで海外送金により返済する方法です。

3)親会社への債権との相殺

現地法人が親会社あての債権を有していることを契約書で証明できる場合、その債権と立替金を相殺する方法です。

4)子会社から親会社へ海外送金する方法

最も単純な方法ですが、海外送金する銀行が認めるか不透明な方法です。各金融機関によって対応が異なるのでご注意ください。契約書など準備すべき書類もあります。

立替金の精算には慎重な手続きが必要ですので、会社設立準備の段階で事前にご相談ください。

以上

投稿者プロフィール

西田 俊哉
西田 俊哉
アイクラフトJPNベトナム株式会社・代表取締役社長。
大手生命保険会社に23年の勤務を経て、2005年に仲間とベンチャーキャピタル・IPO支援事業の会社を創業し、2007年に初渡越。現在は会社設立、市場調査、不動産仲介、会計・税務支援などを展開。