外国人労働者のベトナム社会保険加入

 ベトナムで労働許可証を持ち、1年以上の雇用契約を締結している外国人の強制保険(社会保険加入)が義務化されています。現行のベトナムの強制保険は三種類あります。

1、社会保険 (「疾病・妊娠出産給付」、「労災・職業病給付」、「退職年金・遺族給付」)

  社会保険は上記のとおり三層構造の給付があります。

  料率: 雇用者負担 17.5% 被雇用者負担 8%

2、健康保険 料率: 雇用者負担 3% 被雇用者負担 1.5%

3、失業保険 料率: 雇用者負担 1% 被雇用者負担 1%

 健康保険は2009年10月から外国人にも加入の義務がありました。社会保険については、2018年12月より外国人も支払い義務が生じましたが、疾病・妊娠出産給付と労災・職業病給付に関わる保険料で保険料率は合計で3.5%となります。この保険料率は雇用者側が負担するものですので影響は軽微でした。

 2022年1月1日より退職年金・遺族給付に関わる保険料の支払い義務が開始します。社会保険すべての保険料の支払い義務が発生します。雇用者側が17.5%を負担し、被雇用者側は8%の保険料率が適用されます。

 しかしながら保険料の算出には、基本給に固定の諸手当を加えた額により計算されますが、算定額は公務員に適用される一般最低賃金の20倍が上限になります。現行の一般最低賃金の金額は、2020年引き上げが見送られたことから149万VNDのままになっています。外国人の保険料計算上は上限が適用されます。

上限保険料の概算

 雇用者の保険料上限 約500万VND  被雇用者の保険料上限 約230万VND(一般最低賃金が改訂されるためおおよその金額を著しています。)

外国人の社会保険加入が義務付けられましたが、社内異動の者、ベトナムの定年に達した者は適用外になりました。

注意しなければならないのが、社内異動者の定義です。

社内異動者の定義

 社内異動者とは、1年以上前に当該企業に採用され、その企業の出資したベトナム法人等に人事異動により一時的に出向する者になります。

 入社1年未満の者、現地採用の者は適用外の対象になりません。また、その企業の海外法人が出資したベトナム法人に、海外法人の親会社にあたる日本法人からの出向は、社内異動とは認められない場合もあります。出向者の給与をベトナム法人が支払っている場合も、社内異動とは認められない可能性もあるので注意してください。

投稿者プロフィール

西田 俊哉
西田 俊哉
アイクラフトJPNベトナム株式会社・代表取締役社長。
大手生命保険会社に23年の勤務を経て、2005年に仲間とベンチャーキャピタル・IPO支援事業の会社を創業し、2007年に初渡越。現在は会社設立、市場調査、不動産仲介、会計・税務支援などを展開。