会社事業縮小・休眠・会社清算時の被雇用者への対応
コロナ禍の2020年以降、弊社ではいくつかの事業縮小、会社休眠、会社清算のサポートをしてまいりました。アフターコロナ後もベトナム経済の低迷が続いたこともあり、撤退することや休眠企業が相次ぎました。そして今年も急激な円安の影響もあり、事業の縮小の相談があることも事実です。
小規模の場合は、弊社単独で対応をしておりますが、大規模な場合は弊社と連携している法律事務所のお力を借りて対応をしております。ベトナム法を熟知している弁護士と連携して対応を図りますが、かなり低廉な価格での対応をいたします。
弊社で対応した経験に基づき簡単な対応の手順をお伝えいたします。難易度の高い案件は、法律事務所へのお問い合わせをいただければと存じます。弊社でも多数の法律事務所へのご縁がありますので、ご相談いただければご紹介は可能です。
1)手順
(1)社員総会、株主総会での決議
会社の財務状況などをもとに、どの程度の事業規模の縮小を図るかの決議を行う。
議事録の保管(開催日時、場所、目的、出席者、議事内容と結果などを記載)
(2)説明資料の作成
事業の縮小や休眠などの決定に至った理由
事業縮小の範囲
退職を求める労働者への条件の提示
(3)幹部労働者への説明
説明資料をもとに残留する労働者、退職を要請する労働者の範囲を明確にして、その理由、経緯などを
説明する。
(4)労働者全体への説明(労働契約合意解除の説明)
退職を要請する労働者に対する退職条件の提示
(労働者が合意していただければ「労働契約合意解除」として取り扱
う。合意しない労働者には「整理解雇」をなることを説明する。)
(5)退職する労働者への社会保険の手続き
(6)退職する労働者への退職金の支払い
(7) 事業縮小、休眠、清算手配
注)整理解雇
労働法の規定に従い労働契約を終了させることになるが、労働契約は手続きが完了するまで雇用は継続 される。ただし、合意解除のような条件での会社からの退職金は発生しない。失業保険による失業手当は支給される。
注)雇用形態の期限により通告する期限が決められている
・無期限雇用 45日前まで
・12か月以上36か月以下の有期雇用 30日前まで
・12か月未満の有期雇用 3営業日前まで
(1)組織再編または技術的変更により労働者の雇用を維持することができない
(2)経済的理由により労働者の雇用を維持することができない
(3)分割、合併、事業譲渡等により労働者の雇用を維持することが不可能整理雇用の手順としては、以下の手順を追う必要があります。
・労働者使用計画の立案(労働法第44条)
・事業所労働者との意見交換
・30日前までに省級人民委員会及び労働者への通知(労働法第42条)
・失業手当の支払い(労働法第47条)
注)違法な解雇や不当な退職強要に関しては、刑事責任が問われる可能性もあるので、細心の注意が必要です。