定款資本金・総投資額の決定と短期借入れの方法

1、定款資本金(Charter Capital)の決定

 会社設立時の投資許可申請書には定款資本金と総投資額を申請することになります。外国資本を50%以上出資する企業は、投資登録証明書(以下、IRC)を受領後、企業登録証明書(以下、ERC)を受領後、90日以内に定められた定款資本金を資本金口座に入金する必要があります。金融事業や不動産事業などの特殊な業種以外には、外資系企業の最低資本金に関する規定はありません。しかし、外資企業は最初にIRCの取得が義務付けられていますので、当局担当者ベースで業種ごとの資本金額の目安があるものと思います。そのためどのような金額でも認められるということではありません。

2、総投資額(Total Investment Capital)の決定

 総投資額とは定款資本金と将来の増資額及び1年超の長期借入金(親子ローン)の限度枠を指定しておくものです。この枠を確保しておかない場合、長期資金の借入れの前にIRCの総投資額を変更する作業が発生します。その修正作業には1~2か月程度を要する場合もあります。そのあとで親子間の金銭貸借契約(HOP DONG VAY TIEN)を締結後、借入れ実行のために中央銀行への登録が必要になります。書類準備から登録までの期間が2~3か月程度を要する場合があります。

 ただし、総投資額の枠内の投資を必ず実行する必要はありませんので、あらかじめ余裕を持った設定額にすることをお勧めします。長期借入れをする場合は、中央銀行への登録のうえで資本金口座に入金することになります。なお、IT企業などモノの投資が少ない企業は、定款資本金の最低2倍程度、設備投資が想定される企業は、定款資本金の最低3倍程度の金額設定が妥当と考えられます。

3,短期借入れ(親子ローン)の方法

 1年以内の短期借入れの場合は、中央銀行への登録の必要はありませんが、資本金口座への入金が必要になります。その口座において、返済や利息の支払いをする必要があります。なお、短期借入れの場合は、IRCの総投資額の枠には含まれません。しかし、中長期、短期の借入れにかかわらず中央銀行宛に四半期報告が必要になります。中長期借入れ同様に金銭貸借契約(HOP DONG VAY TIEN)を締結する必要があります。また、短期借入れの場合は、返済期日到来日までには海外送金での返済が必要になります。ベトナム国外からの借り入れの場合、利息分については5%の外国契約者税が課せられます。利息分を高額に設定する場合、価格移転の指摘を受ける危険性があるので注意が必要です。

以上