外国人労働者の社会保険料(退職年金・遺族給付部分)の支払義務が発生

外国人労働者の社会保険加入が義務化されております。2018年10月公布の政令(143/2018/ND-CP)によると、労働許可証あるいは特別業務の活動許可証を持つベトナムで就労する外国人労働者で1年以上の雇用契約を締結している者は社会保険加入が義務化されています。

ただし、社内異動者(ベトナム現地法人への出資会社において1年以上勤務経験を有する外国人労働者が一時的にベトナム現地拠点に異動する場合で辞令が発せられた者)とベトナムの定年年齢に達している者は対象外になります。定年年齢は2020年までは男性60歳、女性55歳でした。2021年より男性は毎年3か月ずつ、女性は毎年4か月ずつ段階的に引き上げられ、最終的には2028年に男性62歳、2035年に女性60歳とすることが発表されています。

社内異動と評価されない恐れがあるのは次のケースです。本来の親会社でなく海外子会社(シンガポール法人など)の出資により現地法人が設立されている場合、海外子会社からの異動ではなく、その親会社(たとえば日本法人)からの異動の場合は出資会社の異動とは評価されません。また、入社一年未満、あるいは現地法人への転籍の場合も社内異動とは評価されません。

医療保険基金に関わる保険料の支払い義務は2009年より、2018年12月からは、社会保険の「妊娠出産・疾病給付」、「労災・職業病給付」の保険料支払義務が発生していました。2022年1月からは「退職年金、遺族給付」部分の社会保険料に関しても支払い義務が発生します。社会保険は「妊娠出産・疾病給付」、「労災・職業病給付」、「退職年金・遺族給付」から構成され、それぞれの構成部分で雇用者と被雇用者の保険料負担の割合が決められています。特に「退職年金、遺族給付」の料率は大きく、2022年から外国人労働者の会社負担額と労働者本人負担額は大幅に増加します。

保険料の算定は基本給、諸手当、賞与を足した額を基準にし、月額の支給額を算出します。ただし、保険料の総額に関しては上限が決められています。公務員などに適用される一般最低賃金の20倍の金額が上限となります。その上限額に一定の料率をかけて計算されます。現時点の一般最低賃金は149万VNDですので、20倍は以下の金額になります。

保険料計算の月額給与上限:149万ドン×20倍=2,980万VND

上限額を超える給与水準であっても、雇用者は外国人労働者一人につき6,109,000VND、被雇用者は3,281,000VNDの負担となり、それ以上負担する必要はありません。医療保険基金と合わせて、雇用者と被雇用者の負担割合と保険料上限を記載しましたのでご確認ください。

医療保険と社会保険の料率と上限額に関する表

社会保険名目保険料率(雇用者)保険料率(被雇用者)保険料上限(雇用者)保険料上限(被雇用者)施行年月
医療保険基金3%1.5%894,000VND447,000VND2009年10月
社会保険(妊娠出産・疾病)3%0%894,000VND2018年12月
社会保険(労災・職業病)0.5%0%149,000VND2018年12月
社会保険(退職年金・遺族給付)14%8%4,172,000VND2,834,000VND2022年1月

ただし、2021年7月1日付の決議(68/NQ-CP)「Covid-19による困難」に基づき、2021年7月から2022年6月22日までの12か月間は「労災・職業病基金」の雇用者による0.5%の保険料の納付は免除されています。

多くの外国人労働者は一般的にこの上限額の保険料支払いが発生することになります。社会保険の支払い義務がある外国人労働者を雇用する企業は注意が必要です。

以上